プロローグ・・・返事はいらない

女もすなるユーミン論といふものを、男もしてみむとてするなり。

2013年「ユーミンの罪」という新書が発売されました。

著者は酒井順子さん 1966年9月15日生まれ
「負け犬の遠吠え」で有名な文筆家です。

対象になるのがユーミンこと松任谷由実さん
1954年1月19日生まれ
ニューミュージックのシンガーソングライターです。


いきなり女性の歳をばらすという失礼な真似をしてごめんなさい。
(いずれもウィキペディアからの情報です。)
しかし二人の年齢差が、この書籍に大きな影響を与えているのであえて記載しました。

この本を1968年生まれ知り合いの女性がいといたく気に入り、勧められました。
私もユーミンファンだったので興味をおぼえ、読んでみました。


確かに名著です。


実際にユーミンファンとして過ごしていた女性の、リアルタイム感がすばらしい。
特に、作者が確実に「その時」に聞いたであろう、ノーサイドあたりからのリアリティがすごい。
そう感じずにはいられない著書です。




ちなみにこのサイトの管理人は1962年生まれ。

1975年の「あの日にかえりたい」1976年の「14番目の月」あたりからファンになり、1980年からはユーミンのアルバムを買って、聴いています。

それ以前は、お小遣いが少なかったので、「ユーミンブランドパート1」しか買えませんでした。


その代わり、それ以降は後追いで全てのアルバムを揃えました。
そして、当時アルバム未収録だったシングルも全て買い揃えたものでした。


ユーミンはずっと売れていたわけではありません。
その後の活躍を見ると、信じられないかもしれませんが、いい曲を出しても出しても大ヒットが出ない状況が比較的長いあいだ続きました。

荒井由実から松任谷由実へ変わった頃からのファンは、それでもずっと応援を続けました。
そのような往年のファンの目から見ると、この本には突っ込みどころもたくさんあります。


特に気になるところ3点を絞りました。
「ユーミンの罪」の罪 その1:
初期のアルバム解説が、「ルージュの伝言」に頼り過ぎでリアルタイム感に欠ける。

「ユーミンの罪」の罪 その2:
初期の曲をユーミンの私小説であるかのような捉え方をしているように読める。

「ユーミンの罪」の罪 その3:
ユーミンを語る上で外せない重要な曲やアルバムがところどころ抜けている。



前述の推薦した女性の言を借りれば、そのような未完成なところ、つまり「リアルタイムじゃないけど、あとから調べて知りました。だからところどころ不正確です」という感覚も、ピッタリなのだそうだ。

なるほど、ユーミンとはそのようにして聞くものなのかと、改めて感じいった次第です。


だから、このサイトは「ユーミンの罪」の書評ではなく、追補です。

著者より少しだけ早く、リアルタイム感を体験した管理人のユーミンに対するオマージュでもあります。

1972年にリリースされたデビュー曲は「返事はいらない」でした。

ユーミンの罪 コラム

ユーミンの罪を資本主義経済に置き換えるのは、やっぱり無理があります。
つまりバブルに乗じてということですよね。

ユーミンは、それよりも前の時代から出発しました。
荒井由実の時代です。
日本のポップスを作ってきたのがユーミンです。

荒井由実は最初からアルバムアーティストでした。
「ひこうき雲」はトータルアルバムですよね。

このあたりは「ひこうき雲」のコーナーで解説しますが
荒井由実とはそのような存在でした。

ユーミンの罪に違和感を覚えるのは、
70年代のことに関して、非常に希薄な点です。

結婚するまでの4枚のアルバムが
そして荒井由実のアルバム未収録の数枚のシングルが
ユーミンの始まりです。

これは誰にでもわかっていること。

ユーミンの罪の作者には申し訳ないですが
このあたりのリアリティがないために、
全体的に違和感を覚えてしまいます。

やはりベースは大事だということでしょうか。


では、ユーミンの罪が全くないかと言うとそうでもありません。

ユーミンの罪の最も大きなものは、
ユーミンが巨大すぎるということです。

荒井由実が巨大すぎて、
松任谷由実は苦戦しています。

松任谷由実が荒井由実を凌駕するほどに成長したため
ユーミンを超えるアーティストが出てきませんでした。

もちろん異論はあるでしょうが、
そのように言っても許されるアーティストであることは
確かです。

最初からソロ活動だったために、
多くのグループがやったみたいに、解散とか再結成とかして、
話題作りをするあざとい真似はできません。

常に第一線で40年以上活躍を続けている
アーティストはほとんどいません。

ユーミンだけがユーミンを超えられる。
それが、「ユーミンの罪」なのでしょう。



「ひこうき雲」は雪村いづみさんに書かれた曲だそうですね。
雪村いづみさんこそ、ユーミンが追及したポップスの
先駆者と言うべき人ですよね。

いわゆるジメジメしたところの全くない歌手。
そしてスーパースター!

雪村いづみさん、今でも自分のステージで
「ひこうき雲」を歌っているそうです。